第1章

13/29
前へ
/56ページ
次へ
 船には新選組の皆が乗っている。    でも、その船はずいぶんと小さく、人が乗るには心もとないような感じの質素な船だった。     「じゃあな、淡雪」      そう言って原田さんが背を向ける。     「え? どこに行くんですか?」   「松坂、お前は来るな」      一歩足を踏み出したとたん、斉藤さんの鋭い声に体が硬直してしまう。     「来るなって……。ね、皆どこに行くんですか?」   「俺達は新選組だ」   「俺らの信じた道を進むんだよ。淡雪はここにいろ」      まっすぐな視線が私を射抜く。      2人は私に背を向け、船の方に歩いて行く。  
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

918人が本棚に入れています
本棚に追加