第1章

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「い……、行っちゃだめです! 行っちゃだめ!」      私は知っている。    あの船は沈み行く運命(さだめ)。    船に乗ったら死んでしまう。     「行かないで!」      2人の背中を追って走る。    必死に走っているのに、足が水の抵抗にあって早く進まない。      少しでも追いつこうと精一杯手を伸ばしてしているのに、2人との距離は離れていくばかり……。     「嫌だ……。行っちゃやだ! 行かないでー!」      小さくなっていく背中に、胸が痛くなる。      胸が痛くて息が出来ない。    涙が頬を濡らしていく……。  
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