918人が本棚に入れています
本棚に追加
たんたんと流れ行く時間。
教室の窓から見える空は今も昔も変わらない。
休み時間に浮かれるクラスメートの楽しそうな声が、今の私にはひどく遠く思える。
好きな男の子やアイドルの話。
昨日見た雑誌やテレビ番組の話。
親や先生の悪口。
今までの日常の中で慣れ親しんだ景色の中に、私だけが取り残されていた。
私はゆっくりと自分の手を開く。
そこには何もないけれど、私にだけは見える。
私が殺してしまったあの男の血が、私の手を赤く染めているのだ。
ピチャーン。
どこからともなく聞こえる水音に目を閉じる。
最初のコメントを投稿しよう!