第1章

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 1人にされ母の気持ちに、また涙が零れる。    最近の私は、泣いてばかりだ。      泣いてちゃだめ。    泣いている時間があるなら、道を開く努力をしなくちゃ。      私は袖で自分の涙を拭うと、すぐに本に視線を戻す。      自分の力なのに、使い方がわからないまま気持ちが焦るばかりで、1日、2日といたずらに日にちだけが過ぎていく。      昔の記録が置いてある道場の倉庫をひっくりかえして、力に関する記録がないか調べる。    でも、出てくるのは道場関係のことばかり。    父が言っていたように、この力は口頭で伝わっているだけだったのかもしれない。      でも、それじゃ困るのだ。      どうしてもこの力を使えるようになりたい。    そんな気持ちから諦めることが出来ず、足掻くようにひたすら情報を探す。  
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