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「我々と同じ力を持つ者。土の力を持ってあの世界に飛んでいる」
「……」
「彼にあまり接触するな。同じ力を持つ者同士で反発があるかもしれない」
「でも、楠さんはお兄さんに会いたいんじゃないの?」
そう聞くと楠さんは苦笑する。
「兄は……、神楽地の人質だったんだ」
聞かされた話は、衝撃の事実だった。
「私にはわからないが、神楽地は何かの目的があって行動している。その目的に新選組が関わっていたらしい。情報を横流しすることを強要された」
次から次へと聞かされる言葉に驚くばかりだ。
つまり神楽地は私と同じ世界の人間ってこと?
「我々の血は力を持たぬ者と交配を繰り返し、血の薄まりとともに、力も薄まってしまった。君の世代なら私が手を貸したとしても、1度渡るのが精一杯だろう。もうこの世界には戻れなくなる」
一度っきりの界渡り……。
もう両親に会えない。
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