第1章

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「我々と同じ力を持つ者。土の力を持ってあの世界に飛んでいる」   「……」   「彼にあまり接触するな。同じ力を持つ者同士で反発があるかもしれない」   「でも、楠さんはお兄さんに会いたいんじゃないの?」      そう聞くと楠さんは苦笑する。     「兄は……、神楽地の人質だったんだ」      聞かされた話は、衝撃の事実だった。     「私にはわからないが、神楽地は何かの目的があって行動している。その目的に新選組が関わっていたらしい。情報を横流しすることを強要された」      次から次へと聞かされる言葉に驚くばかりだ。    つまり神楽地は私と同じ世界の人間ってこと?     「我々の血は力を持たぬ者と交配を繰り返し、血の薄まりとともに、力も薄まってしまった。君の世代なら私が手を貸したとしても、1度渡るのが精一杯だろう。もうこの世界には戻れなくなる」      一度っきりの界渡り……。    もう両親に会えない。  
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