918人が本棚に入れています
本棚に追加
命をかけた日常を生きていた。
志や義の為に命をかけていた男達がいた。
それなのに、今の私は誰にも傷つけられる心配のない人生を生きている。
「何見てんの? 淡雪」
考え事している時に人の気配を感じ、体が硬直していた私は、友達の声にほっとしてしまう。
ほぼ1年。
自分の命は自分で守る生活をしていた。
いつの間にかそんな生活に慣れてしまったのだろう。
背後や近くに誰かの気配を感じると体がとっさに硬直する。
「ん、いい天気だなぁ~って空を見てただけだよ」
「そうなんだ」
横に立っている友人を見上げる私は、ちゃんと笑えているのだろうか?
当たり前だった日常から、私だけが取り残されている。
慣れ親しんだ生活に苦痛を感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!