第1章

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「ただいまー」      まだ懐かしさを感じる玄関で靴を脱ぎ、自分の部屋へと向かう。     「淡雪、道場でお父様が呼んでるわよ」      階段を上がろうとして、奥の居間から母が私を呼び止められた。      いつもなら、昼からパートに出て家にはいないはずの母に驚いてしまう。     「あれ? お母さん、今日の仕事は?」   「あ、今日はお休みよ」   「そうなの?」      私の質問に、少しだけ困ったような母。    何か話があるのだろう。    私は少しだけ笑って見せた。     「わかった。着替えたら行くよ」      私があの幕末に行っていた間。    それはただの夢だった。      神楽地に殺されたはずなのに、目を覚ますと自分の部屋のベッドの上で寝ていたのだ。  
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