第1章

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 その時は、元の世界に戻れたことが嬉しくって今までの生活に戻れると思っていた。      でも出来るわけない。    私は人を殺している。    あれは夢などではないのだ。      命を狙われることのない安全な生活。    それが私に苦痛を与えていた。      私は制服のリボンを剥ぎ取るように外して、ベッドの上に投げつける。     「もう嫌だっ!」      夢から覚めてから1週間。    私には何ヶ月にも思えた。      苦しくて。      私の場所はここなのに、あの世界に帰りたいと思ってしまう。      ……みんなのところへ。    帰りたい。      今の私には、こっちの世界が夢のようだ。  
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