918人が本棚に入れています
本棚に追加
私に向けられた父の背中。
師範になった父を、ずっと強くてかっこいいと思っていた。
でも、緊迫した世界を生きている人の強さとは違う。
新選組で学んだ剣術は、実践の剣。
鍛錬からして違う。
心を鍛えるはずの剣道を、私は楽しむことが出来なくなっていた。
実践の剣に慣れた私は、以前はどんなふうに竹刀を振ったのか思い出せない。
竹刀を振る時は、いつも一人だ。
父に見られたくなくって、早朝や深夜に道場へ来ていた。
きっと父はそのことについて呼んだんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!