始業式

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「みなさん、有意義な春休みは過ごせましたか?」 お決まりの校長のあいさつ。 一定のリズムを刻む話し方。 それ、子守唄のつもりかってくらい間を開けながら喋るもんだから あくびがとまんねぇよ。 大口空けて涙目になっていたら、斜め後ろから脇腹をつつかれる。 「ただでさえ目立つんだから、せめて下向きなさいよ…」 委員長が呆れた顔でぼやく。 目立つ? ちょっと明るいくらいじゃん。 「むしろ地味ーな三つ編みしてるあなたのほうが今どき目立つと思いますけど?」 独り言のようにボソッと呟くと、委員長は眉を吊り上げてこっちを睨んだ。 おー恐っ。 ちなみに 委員長は、俺の隣に住んでる幼なじみだ。 だからって恋愛に発展するようなロマンスは一切ない。 対称的な二人だった。 意気投合したことは、一度たりともない。
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