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春人は携帯電話のディスプレイを見ると、電話に出た。
あの音楽は、着信だったみたいだ。
は『うん…。うん…。今、合流して今から戻る。うん…。うん…。』
(相手は美和か直哉さんかな?)
春人の電話が終わるまで、また、そこに佇んでいた。
何もする事がなく、空を見上げると、頭上には満天の星空が広がっていた。
都会でこれだけの星空が眺められるのは、滅多にないだろう。
星空を見ても涙が流れてくる。
(何でこんなに泣けるんだろう?意味も理由もわからない。)
電話を終えた春人が私の頭をポンポンと、優しく叩く。
は『みんなが待ってるから、帰ろうか?』
私『…はい…。それと、………ありがとうございます………。』
は『うん。』
春人はそういうと優しく笑った。
(女の子はこんな人に弱いんだろうね。)
帰り道も来た時と、同様にお互いに何も話さずに、横に並んで帰った。
春人が私の歩調に合わせて、ゆっくりと歩いていた。
は『星…綺麗だな…。』
春人はそういうと、美和のマンションの部屋の呼び鈴を鳴らした。
み『遅い❗何やってるの?もう、出来てるんだから、さっさと食べるよ❗』
私と春人を出迎えた美和が、お母さんみたいな口調で捲し立てる。
私と春人はお互いに顔を見合わせて、笑って美和マンションの部屋に入った。
(美和…何も言わないでくれてありがとう。)
心の中で美和にそっとお礼を言い、席に座った。
(私の席は春人さんの横だ。美和は…当然って顔をして直哉さんの横にいる。)
私はそっと、クスッと笑ったのを春人に見られた。
だけど、春人は口にそっと指をあて、小さな子に『シィッ』と、する様な感じで、私にしてきた。
私も、そんな春人を見て、そっと頷いた。
(最初は面倒臭いって思ったけど………こんなのもいいかも………。)
その日、私達は明け方近くまで鍋をつつきながら、お酒を楽しんだ。
私は携帯電話や出会い系をした事は、とっくに忘れていた。
明け方近くまで、4人ではしゃいだので、次の日に起きるのが、かなりダルかった。
春人と直哉は、そのまま、泊まっていた。
私は、朝日の光で目を覚ました。
まだ、眠たかったが、興奮して眠れずに、ベランダに出た。
外の空気が肌に触れ、思わず身震いをした。
いつの間にか、暖かくなっていた。
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