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涙が流れてきた。
声を出して、思いっきり泣いた。
(何ヵ月振り?何年振り?)
刺々しかった心が、少しだけ丸くなった。
春人は泣き止むのを、黙って見守ってくれた。
頭をポンポンと、優しく叩いてくれた。
また、ベランダの窓が開いた。
美和が茫然と、立っていた。
私は美和に抱き着いて、再び、声を上げて泣いた。
美和はギュッと、抱き締めてくれた。
私『有難う。』
嗚咽で美和に聞こえたか、聞こえてないか分からないけど、自然とその言葉が口をついて出てきた。
(どれくらい泣いたのかな?)
美和が、
み『あぁ~。あんたのせいで服がグチャグチャ。』
っと、言って笑った。
み『お腹空いたから、ご飯を食べない?奈々は顔を洗ってきたら?』
美和にそう言われたけど、私は美和から離れようとしなかった。
顔がグチャグチャだったし、思いっきり大泣きした後で、恥ずかしかったから。
それでも、美和に無理矢理、引き剥がされる感じで美和から離れ、お風呂場に放り込まれた。
み『ついでに、全部、洗っておいで。』
私『ありがとう。』
美和に聞こえない様に言ったのに
み『ありがとうはあんたが幸せになったら、また、聞くわ。ゆっくりと入ってきてな。』
美和の優しさが素直に嬉しかった。
私はシャワーを全開にすると、再び、泣いた。
一生分、泣いたって思うくらい涙が出てきた。
私がお風呂から上がり、服を着替えて、リビングに行ったら、まだ、直哉は眠っていた。
み『相変わらず、奈々のスッピンは不細工だね。ご飯を食べる?』
美和はそう言って、笑っていた。
私『うん…。』
何か、気恥ずかしく、まともに美和の顔を見れないでいた。
そんな様子を、春人は微笑みながら見ていた。
み『今日はどうする?』
朝食を食べながら、美和が問いかけてきた。
私『私は、昨日の片付けをしておくよ。』
部屋の中は未だに。昨日の夜のままだ。
み『えっ~。四人で、出掛けたかったのに…。』
(美和がこんな風に、我が儘を言うのは珍しいな。)
は『直哉を起こして帰るから、二人でゆっくりとしたら良いよ。』
春人の一言で、美和は更に膨れた。
み『春人さんと直哉さんの今日の予定は?』
美和はまだ、引き下がらないみたいだ。
春人は何かを考えている顔つきだ。
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