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少しだけ気持ち的に、前を向き出した。
少しだけ勇気を出して、外に出てみた。
今まで、ずっと、ベランダから眺めていた風景に、自分が立っている事が不思議だった。
足取りも軽く、私は近くのスーパーに行った。
動機や息切れもするし、恐怖もあるけれど、ちょっとだけ楽しい。
(ご飯を何にしようかな?美和にメールをしてみようかな?)
スーパーに色んな食材があるのは当たり前だけど、それこそ私は初めてみる様な感覚になっていた。
(自分の気持ち一つで、こうも違うのかな?)
当たり前だけど当たり前じゃない、風景に思えてくる。
色んな事を考えながら、スーパーを一周したけれど、夕飯を何にしようか決められなかった。
(思いっきり不審者だよね?)
それでも、美和には美味しい夕御飯を作ってあげたいから、迷いに迷っていた。
スーパーをうろつくのも二週目に、突入していた。
お肉にしようかお魚にしようか全く決められない、自分に少し凹んできた。
(やっぱり美和にメールをしよう❗)
メールの文を考えながら立ち止まって、携帯電話を開いた。
タイミング良く、着信があり、携帯電話が鳴った。
驚いて、携帯電話を落としたら派手な音がした。
(めっちゃ恥ずかしい。)
誰かに見られてないかと周りを見渡したけど、誰も見てなくて、そっと胸をなぜおろした。
『♪~♪~♪』
落とした携帯電話から、まだ音楽が流れていた。
誰からかの着信かを、確認せずに電話に出た。
私『はい。もしもし。』
男『あっ。やっと繋がった。誰か分かる?』
私『はい?』
思わず声が裏返って、構えてしまった。
(聞いた事のない声…。えっ?誰?彼氏の関係者?)
戸惑いや不安を隠しきれずに意味もなく、ウロウロした。
男『ごめん、ごめん。驚ろかせたよね?出会い系って言えば、わかるかな?』
私『出会い系…?』
男『あれ?違った?教えられた電話番号って、この電話番号だよね?』
私『あっ…?あれ?』
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