プロローグ~現在~

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私『禿げ上がってしまえ💢』 無意識に口に出していた。 か『何や?急に?喧嘩を売るんか?』 私はそれ以降、一切、口をと出した。 車内は不穏な空気に包まれ高速を二時間くらい走った。 先に口を開いたのはかずさんだ。 か『ガソリンを入れてもええか?』 いつもなら、何も言わずに入れる癖にご機嫌を伺ってきた。 私が何も答えずにいるとサービスエリアに車を止めた。 (何を考えてるんやろ?) か『何か飲むか?』 私『………コーヒー………を買ってくるよ。かずさんは?』 睨む様に答えてしまった。 気分転換をしないと喧嘩しそうで怖かった。 けど、先にかずさんがキレた。 か『先から何なんや?不満があるなら、このまま帰るぞ💢?』 私『帰るんなら、帰ればいいやん💢自分が言った事を考えてみんや💢❗』 言ったところで分かる訳ないのはわかってた。 かずさんは記憶障害が、たまに出る。 都合の良い事から悪い事まで全て綺麗に忘れる時がある。 そんなのはわかってたはずだけど、悔しかった。 私の頬に涙が伝う。 (わかっているのに、もう、不安定や❗) 私は自分自身にもキレていた。 私『頭を冷やしてくる。何を飲む?』 か『コーヒー。』 私『いつもので良いの?』 か『あぁ。』 こっちを見ずに答える。 その場から逃げる様に飲み物を買いに行く。 (二人の初めて旅行の思い出くらい覚えて欲しかった。) 贅沢なのはわかっている。 好きな人が側にいるだけ凄い事なのにもっと、もっとを望んでしまう。 トイレでひとしきり泣いてから売店でコーヒーを二本買った。 かずさんが飲むコーヒーはコロコロ変わるけど、ただ一つだけ、出会った時から必ず飲むコーヒーがある。 ゆっくりと車に戻ったらかずさんが携帯電話で誰かと話していた。 それを見て、胸が締め付けられる思いがした。 一緒にいる時でも、かずさんの仕事の電話がバンバンかかってくる。 (いつからかな?かずさんが携帯電話を触ったり、誰かと電話をしていると逃げ出したりしたくなったり怖くなったり、不安になったり、寂しくなるのは…。) ずっと見ていたけど電話は終わる様子もなく、楽しそうに話をしているので、再び、売店に戻った。 意味もなく、売店に売ってあるお土産を物色する不振人物になりかわった。
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