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(このまま、ヒッチハイクでもして帰ろうかな?)
売店のおばちゃんに何度か話かけられ、何故か一緒にお茶をしていた。
おばちゃんの話を上の空で聞いていた時に、突然、私の携帯電話が鳴った。
出るのを躊躇った。
どうしようか悩んでいると、再び、携帯電話が着信を告げた。
また、迷っていると、切れた。
それを、何度か繰り返した。
携帯電話の着信は勿論、かずさん。
何度目かの電話の後に今度はメールが届いた。
「どこや」
たった、その一言が怖かった。
メールに返信しようか迷っていると、また、着信を告げた。
デスプレィを見なくても誰だかわかる。
お『電話に出なさい。』
おばちゃんに誘導され、恐る恐る電話に出る。
私『はい?』
か『何処や?何処に行ったんか?はよう、戻ってこんかい💢』
(あっ。キレてる。)
私は何故か、冷静だった。
私『わかった。』
私は電話を切るとおばちゃんに別れを告げて、車に戻った。
お土産も買って…。
車に戻ると案の定、かずさんはキレていた。
何も言わずに無言でコーヒーを差し出す。
かずさんも無言で受けとる。
スタンドでガソリンを入れて、また、高速を走り、旅館に向かう。
車内は不穏な空気というより、常にお互いをいない存在として、扱っている。
(帰りたい。)
楽しい誕生日になるはずだったし、私が悪いのはわかってはいるが、謝れずにいた。
か『着いた。』
その一言で車から降り、荷物をおろし、チェックインする。
お互いに無言のままで部屋に案内される。
仲居さんから部屋の案内と大浴場の案内、家族風呂の時間の確認と夕飯と朝食の時間の確認をされた。
その後に仲居さんが、
『例のモノはお食事の後で良いですか』
っと、質問をしてきた。
私『それで良いですよ。』
っと、答えている間、かずさんは聞いても聞かぬ振りをしていた。
仲居さんがいなくなくると…
か『風呂に行ってくる』
そう、一言、言い残して大浴場に向かった。
私は安堵のため息をついてリラックスをした。
何度、喧嘩をしても何度も仲直りをしてきたけど、今回は仲直りをする自身がない。
謝るタイミングすら外している。
旅館の窓から見える海をボッーと眺めて、物思いにふけっていた。
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