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図書館に向かって歩いている途中、ある女子がおろおろしていた。
歳は同じ頃かな。髪は短く、前髪を赤と緑のヘアピンで、止めて額の上に二つ小さい束をつくっている。後ろの方は普通に小さい束がたっている。ちょっと可愛いかな。
何か困っているのかと思って声をかけてみた。
「君、どうかしたの?」
一応、優しく話しかけてみる。
女子は、俺を見た瞬間びっくりした顔をして一瞬固まった。
固まったまま動かないので、
「あの、どうした?」
また話しかけてみる。
女子は我に返って
「み……み…ち……」
「みち?」
女子はみちと言った。
この場合道路の道だろう。
「もしかして、道が分からないの?」
俺は言ってみると、女子は頷いた。
「何処に行きたいの?」
俺が聞くとポケットから地図を出してくれた。
場所は知っている。
「ここか…案内するから着いてきて。」
女子は頷き、俺が歩くと三歩下がって着いてきた。
目的地に着くまで無言だった。
「ここだよ。」
俺は、そう言って地図を返した。
ここは、古いアパートだった。
女子は、紙を受け取ると軽く一礼して、アパートに向かって行った。
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