第一章

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図書館に向かって歩いている途中、ある女子がおろおろしていた。 歳は同じ頃かな。髪は短く、前髪を赤と緑のヘアピンで、止めて額の上に二つ小さい束をつくっている。後ろの方は普通に小さい束がたっている。ちょっと可愛いかな。 何か困っているのかと思って声をかけてみた。 「君、どうかしたの?」 一応、優しく話しかけてみる。 女子は、俺を見た瞬間びっくりした顔をして一瞬固まった。 固まったまま動かないので、 「あの、どうした?」 また話しかけてみる。 女子は我に返って 「み……み…ち……」 「みち?」 女子はみちと言った。 この場合道路の道だろう。 「もしかして、道が分からないの?」 俺は言ってみると、女子は頷いた。 「何処に行きたいの?」 俺が聞くとポケットから地図を出してくれた。 場所は知っている。 「ここか…案内するから着いてきて。」 女子は頷き、俺が歩くと三歩下がって着いてきた。 目的地に着くまで無言だった。 「ここだよ。」 俺は、そう言って地図を返した。 ここは、古いアパートだった。 女子は、紙を受け取ると軽く一礼して、アパートに向かって行った。
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