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その日の放課後だった。
僕が校舎の2階にある教室を出て、階段の踊り場まで歩いたときだ。
背後から走ってくる足音から聞こえたので振り返ると、そこに神谷がいた。
彼女は右手を制服のポケットに入れたまま「あの……」と何かを言いかけて動きを止める。
そのまま、うつむいてしまった。何か声をかけた方がいい、と頭では分かっていても口が動かない。見えない電流がピリピリと小さな音をたてて僕らの間を駆けめぐっているようだ。
僕は、にじんだ手汗を制服のズボンにこすりつけ、どうにかして気を紛らわせようとした。
告白は断った。他に何かあるのか。
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