返事

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神谷は右手をポケットから出し、僕にゆっくり近づけてきた。 その手には返事をしたはずの手紙が握られていた。 僕が動揺していると―― 「文通してほしいの……。友達になって」 か細い声でそう言って僕に手紙を握らせる。彼女の手は温かく、すこしだけ汗ばんでいた。 僕と同じように緊張していたのだ。 「じゃあ、また明日ね」 神谷は、背中を向けて教室へ戻っていった。
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