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いないことを祈ったが私の願いは神様に聞き入れられなかったようだ。
背後から名前を呼ぶ。
彼が持っていたシャワーホースを地面に置いてふりかえり、私の顔を見た。
瞬間――
私の身体は、金縛りにあったかのように動かなくなった。
そのくせ心臓が今までにないくらい激しい音をたてる。
胸のあたりから頭に血液が上ってゆき顔が熱くなるのだ。
話しかける前の彼はひどく間の抜けた顔をしていた。見るからに眠そうで気だるそうな表情だ。
ただ、なぜだろう。
彼はここにいることが幸せなんだなと思えた。
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