告白ごっこ

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私は少しだけ深く呼吸して―― 「好きです。」 なにを言っているんだ。私。 身体が勝手に動いて、彼に手紙を握らせた。 しばらく硬直したあと苦笑いして。 「あ、あとで読んでね、新井くん」違う。そうじゃない。 私はそのまま後ろを向いて走りだしてしまった。 段取りでは「開けてみて」と言うのが正しく、今のセリフだとすくなくともまる一日は答えを待たなければならない。 いや、その前にだ。 好きです、とはどういうことだ。これじゃあ手紙にした意味がない。 私は校舎の影で一部始終を見ていたはずの島田さんたちをおいて、自宅まで猛ダッシュで帰った。
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