12人が本棚に入れています
本棚に追加
流行りのB'zやZARDの新曲をそらで歌えるようになるくらい聴いた。
「高校教師」や「一つ屋根の下」も見て、俳優や女優の名前も言えるようになった。
「14106(愛している)」はお手のもの。数字を使ったポケベルの言葉遊びもある程度は覚えた。
会話では適当に相槌をうったり、流行りの話題をふったりしながら流れにそって顔をほころばせた。目指したのは、どこにでもいるような気の合うクラスメイト。それ以上でもそれ以下でもない。極めて平凡な関係を万人と保つこと。ただそこに在るだけ、空気のような存在でいられればよかった。
僕は屈伸をしてベッドに寝ころび、封筒から手紙を出して読みはじめた。
そこには、女の子らしくまる文字で書かれた文章があった。
最初のコメントを投稿しよう!