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きっと今平助に手を離されたら、その場に崩れ落ちてしまうだろう
あたしの自慢の体力も、この時代では全然自慢にもなりゃしない
「ゼェッゼェッゼェッゼェッ…ゲホッゲホッ」
大広間に着くころ、あたしは今にも死んでしまいそうだった
足はガクガクするし、息が苦しい
平助から手を離して、あたしは両手を両膝に着き荒い息を整える
「あっ!ごめん、弥斗。思わず全力疾走しちまった」
平助はそんなあたしを見てオロオロしながら、何度も謝ってくる
……平助が悪い訳じゃないのに。
でも荒い呼吸のせいで、否定の言葉を発する事すら許されなかった
「…ったく。馬鹿平助…女の子の手引きながら全力疾走するヤツがあるか」
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