331人が本棚に入れています
本棚に追加
ロイに連れ去られ、ロイと生活するようになってから早くも5日が過ぎた。
外とロイの私室以外なら好きに歩き回って良いと言われていたが、始めの2日間は、警戒して与えられた部屋に閉じ籠り、部屋にある本棚に並べられた本を1日中読み更けた。
食事の時間になっても、俺は部屋を出ようとはしなかった。
そんな俺を、ロイは咎めることなく、それどころかわざわざ部屋まで食事を運んでくれた。
流石にそこまでされて、食べないわけにもいかないので、残さずに食べた。
最初の日に、誰が作ったのかと聞いた俺に、ロイは自分が作ったと言った。
デコボコで、大きさもバラバラな野菜の入ったクリームシチュー
その次の日も、クリームシチュー
そのまた次の日も、やっぱりクリームシチュー
その次も、次の日も……
ずっとクリームシチュー
そして今日も…
「またクリームシチュー…」
コトリと目の前に置かれたロイお手製のクリームシチューを見て、俺は心の中で小さな溜め息を吐いた。
それしかレパートリーがないのか、はたまた別の理由なのか…どっちにしろ流石に飽きてきた。
「どうした?エドワード?」
「あんたさー…」
「ん?」
「なんでクリームシチューばっか作ってんの?」
俺の目の前に腰掛けたロイはきょとんとした顔をする。
「…だって君、シチュー好きだろう?」
「は?」
さも当然のように答えるロイを、きょとんとした顔で見つめる。
「………なんで知ってんの?」
確かにシチューは好きだ。
大好きだ。
しかしロイにはそのことを一度たりとも話したことはない。
最初のコメントを投稿しよう!