渇望、そして狂愛 -朱色に染まり、咲誇れ-

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ロイに連れ去られ、ロイと生活するようになってから早くも5日が過ぎた。 外とロイの私室以外なら好きに歩き回って良いと言われていたが、始めの2日間は、警戒して与えられた部屋に閉じ籠り、部屋にある本棚に並べられた本を1日中読み更けた。 食事の時間になっても、俺は部屋を出ようとはしなかった。 そんな俺を、ロイは咎めることなく、それどころかわざわざ部屋まで食事を運んでくれた。 流石にそこまでされて、食べないわけにもいかないので、残さずに食べた。 最初の日に、誰が作ったのかと聞いた俺に、ロイは自分が作ったと言った。 デコボコで、大きさもバラバラな野菜の入ったクリームシチュー その次の日も、クリームシチュー そのまた次の日も、やっぱりクリームシチュー その次も、次の日も…… ずっとクリームシチュー そして今日も… 「またクリームシチュー…」 コトリと目の前に置かれたロイお手製のクリームシチューを見て、俺は心の中で小さな溜め息を吐いた。 それしかレパートリーがないのか、はたまた別の理由なのか…どっちにしろ流石に飽きてきた。 「どうした?エドワード?」 「あんたさー…」 「ん?」 「なんでクリームシチューばっか作ってんの?」 俺の目の前に腰掛けたロイはきょとんとした顔をする。 「…だって君、シチュー好きだろう?」 「は?」 さも当然のように答えるロイを、きょとんとした顔で見つめる。 「………なんで知ってんの?」 確かにシチューは好きだ。 大好きだ。 しかしロイにはそのことを一度たりとも話したことはない。  
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