Prologue

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深夜1時を回ってからは、決して外に出てはいけない。             光で賑わう街も、その時間に入ると、シンとして、闇に包まれてしまうから。               闇に包まれた街には、闇に住む者達が突如として溢れ出すから。                           だから決して外に出てはいけない。                                           深夜1時   俺は人一人いない街道を一人ポツポツと歩いていた。   間抜けな話だが、公園で本を読んでいた間に、つい、うっかり寝てしまったのだ。   この街には、深夜1時過ぎに外に出ていると闇に連れ去られてしまう、という言い伝えがある。   別に信じちゃいないが、この時間に外にいるということが無かったため、少しだけ、ホントに少ーぉしだけ不安に駆られ、俺は家路を急いだ。       (早く帰らないとアルが心配する………ん?)    家路を急ぐ俺の前方には淡いオレンジ色を放つ電灯と、その光に群がる虫、それから………   「…こんばんは」   長身の男が一人。   夜色のマントを這おったその男の髪と瞳は、夜の闇が溶け込んだかのように黒い。     遠目から見ても酷く整った顔をしていることが窺えた。   「……?アンタ…誰?」   俺は訝し気にその男を見た。   「あぁ、これは失礼…私はロイ・マスタングだ」   「ロイ…マスタング?」   「あぁ、ロイでいい」   「…じゃなくて、アンタ、こんな時間にそんな変な格好して何やってんの?」   「変とは酷いな…コレは我々の間ではきちんとした正装なんだがね」   俺は更に訝し気に男を見る。   男はそんな俺を面白そうに見つめる。   「君こそこんな時間に外に出ては危ないのではないかね?」   「は?」   「言い伝えだよ、『深夜1時過ぎに外に出てはいけない。闇に連れ去られてしまうから』…知ってるだろう?」   「あぁ、知ってるけど、俺その言い伝え信じてないし、だいたい闇に連れ去られるって、どうやって―…「どうやって連れ去られるか…教えてあげようか?」」   「………ぇ?」   一瞬、何を言われたのかわからなかった。   .
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