始まりの日

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何故? と思うかもしれないが、案外戦闘中では相手が予想してない事をした方が効果的だったりする。 敵さんは喧嘩事に慣れているようなので、下手に反撃すれば、いなされたりかわされて逆に殺られるかもしれない。 なので…という訳だ。 まあ本当に戦闘慣れしている奴はこの程度で怯むことはないが、熟練そうなオッサン等ではないため何とかなるだろうと信じて。 手と手を素早く合わせ、パァン!という乾いた音を鳴らす。 するとこちらに飛び出してきていた敵さんが怯み、少しの間動きが止まった。 俺はその隙をついて、彼女が持っていたネックレスを引きちぎるようにして奪う。 が、彼女の手からは簡単にすり抜けたので、ネックレスが損傷することはなかった。 「これは貰ってく…ぜ?」 決め台詞を吐いて逃げようとした直後だった。 何やらペンダントが異様に輝き出して、足元に非科学的な紋様が浮かび上がり、俺を中心に円を作り出して回転を始める。 何これ?ファンタジーでよくある魔方陣? 俺が冷静に考えていると、何やら女が焦っている様子で何か叫んでいたのを最期にして俺の視界は暗転した。  
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