お・ま・け

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……… 暗闇の中で隣から聞える寝息が、温かくて柔らかい肌の質感が心地良い。 頭の下に差し込んだ手にかかる髪から優しい香りが流れてきて鼻孔をくすぐる。 安心し切って俺の腕の中で眠る桃華さんは時々無意識に擦り寄って来て、幼い子供みたいに思える。 さっきは桃華さんの色香に酔わされて、柔らかくてしなやかな体を隅々まで堪能して、何度も切ない声を上げる桃華さんに翻弄されたけれど、今はその面影もない。 桃華さんは“いつも涼介君の顔色を窺っていて立場が弱い”なんて志緒さんにぼやいているらしいけれど、実は自分が俺を動かしているって事は自覚がないらしい。 桃華さんじゃなかったら、もっと余裕がある対応で相手に合わせて上手くやっているよ。 相手が桃華さんだから、掴みどころのない桃華さんに苛々したり、ちょっとした言葉に気分が高揚したり、意地悪をして自分に執着する桃華さんを見たくなるんだ。
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