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「はぁ~。なんか面白い事ないかな~」
オレはそう言いながら学校から家への帰り道を歩いていた。
「そうだな。いきなり殺人事件とか起きないかな」
「いや、そこまで言ってない」
オレは、横にいる友人にツッコミを入れつつ話しを続ける。
先に友人の紹介をしておこう。友人の名前は齋藤勇気(さいとう ゆうき)黒髪、茶目のウルフヘアーがよく似合う男だ。しかもこの男、運動、勉強をそつなくこなす。運動は文化部なのにクラスでも上位に入るし。勉強に至っては、授業中はほぼ寝ている。なのに、クラスの学力順位には十位以内に入っている。とんでもない男だ。
一方のオレは、名前は壱戦来那(いちせん らいな)。何処にでも居る普通の男子だ。特徴と言えば髪が少し長いくらいだ。
まぁ、そんなこんなでたわいもない会話をしながら楽しく帰宅中である。
「ん?あれ、お前の妹じゃないのか?」
「え!」
齋藤に言われ道路の向こう側を見ると、確かにオレの妹こと壱戦鈴音(いちせん すずね)の姿が見えた。
クリクリな黒目とボーイッシュな茶髪が特徴的な幼さが残る少女である。
「あ!」
どうやらあちらもオレ達に気づいたようだ。
「お兄ちゃ~ん」
鈴音は周りも確認せず、こちらへ走ってきた。
そう確認せず、横のトラックに気づくことなく。
「あのバカ!」
オレは咄嗟に走り鈴音に叫ぶ。
「避けろ!鈴音!」
「え!?」
ようやくトラックの存在に気がついたが、もう遅かった。
「くそ!」
オレは道路に飛び出し、鈴音を突き飛ばす。
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