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幼い頃は高い所が好きだった
小さく動く自動車、人、人、人――…
そして限りなく続く
青い大空
浮かんでる白い雲
果てしなく空に憧れた
いつか空を飛びたいと無邪気に思ってた
少し大人びた頃、高い場所が怖くなった
知識を得たからだろう
人間は飛べない。と
重力に負けた先は――…死
幼い頃に大好きだったもの全てが恐く感じた
大空に羽ばたく飛行機
遊園地の観覧車
デパートの屋上
ガラス張りのエレベーター
そこに立つと「死」と隣り合わせなのだと身体が震えた
そして大人になった今
また恋い焦がれるよう、空に憧れる
どうしてだろう?
無邪気さを取り戻したいのだろうか?
――…違う
私は全てを投げ出してしまいたいんだ
全てから逃げて
全てから抜け出して
なにものにも縛られることのない大空に身を投じたい
「死」を理解していないわけじゃない
だからその気持ちさえも「生」に縛る
私は臆病者だから
私は卑怯者だから
縛る事を言い訳に使う
いつまで縛り続けるのかはわからないけれど――…
とりあえず今日、明日くらいは頑張って縛られていようと思う
いつか解放される時を夢みて
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