トラジェディー@ガールズサイド。

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あたしの名前は花菱 千夏(はなびし ちなつ)。 高校一年生。 胸のあたりまで伸ばした黒い髪は、縮毛矯正をかけて真っすぐにしてる。 中肉中背で童顔に赤ふち眼鏡。 黒のブレザーに規定より少し短めの赤と緑のチェックのスカートをはいた何処にでもいそうな女子高生。 あたしの通う高校には、少し離れたとこに学校とは別館で古ぼけた図書館がある。 校内に新しく図書室ができて、図書館を利用する人はあまりいない。 書庫変わりに使われているから、小難しい本が多い。 噂では幽霊がでるとかでないとか……。 だから、利用するのは文芸部や物好きの人がちらほらいるくらい。 受付もいないから、貸出記録をつけるのもセルフサービス。 でも、そこはあたしの安息の地。 あたしも物好きの一人。 ちなみにあたしは、文芸部ではなく帰宅部。 外界から遮断されたその空間は、しんと静まり返り独特の雰囲気がある。 国語教師である母と小説家である父の影響もあって、小さい頃から本が好きで、色んな本を読みあさった。 漫画より活字親しんだ。 そんなあたしに親は『文学少女だ』と勝手に期待していた。 その期待はあたしには凄く凄く重たく感じた。 あたしは集団でいる事が苦手。 だから小学生の時『ちーちゃんはどこのグループなの?』って聞かれて戸惑った。 『人に心を開かないよね。』 信じたって裏切られるだけでしょ。 周りの人に合わせるように服装や髪型を真似てきた。 目立って浮いた存在になりたくないから。 周りから浮いた存在だとあたし自信が損をする。 いや……。 自分が傷つく事を極端に嫌ってる。 だから友達なんて形だけでいい。 恋人なんて作らなくていい。 中学の時、イジメられた。 ホント、きっかけは些細な事だった。 だから遠く離れた誰も知ってる人がいない高校へ、親の反対を押し切って進学した。 正直、あたしに無駄に期待してる両親への反抗でもあった。 学校が遠方で一人暮らしを始めた。 気が楽になった。 だけど、何だか心が寂しくなった。 あの時からかな……。 明るく目立つ子だったあたしは人と足並み揃えて、平々凡々に生きようと思いはじめたのは……。
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