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慎重に立ち上がり後ろの扉へ近付く。
…いない。
「はい頂きまーした」
「うげげ!?」
弾丸もかくやの速度で振り向く。
見てくれは普通の女子高生、優れて大人しげなタイプ。
左目で冷徹な光を放つ単眼鏡がその端正な顔に花を添える。
しかし、その右手の凶悪な気配までは誤魔化せない。
悪魔の如き「爪」を前に―その切っ先は真っ直ぐ僕に―向ける。
「本は頂きますね、兄さん」
ああ、やっぱりか。
目の大きな、しかしどこか顔立ちが似ている。
そしてその奇妙な単眼鏡に、凶悪な鉄爪。
「…ぴよりか」
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