狼煙

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「いらっしゃいませー、こんばんはー。」 加藤清一(かとうきよいち)、華の高校三年。ただいまコンビニでバイト中。初めて一週間が立つ。そして腹も立つ。 「おい…石田、さん。これってどうやるんだっけ?」 実に不愉快。何で同い年の野郎に"さん"付けしなきゃいけねぇんだ。俺より仕事出来るからって俺のことナメてやがんのか。 「返品処理の仕方も忘れたか。呆れて溜め息しか出ないぞ。置いとけ、後で俺が処理する。」 ああ、実に不愉快。こんなバイトしなきゃ良かったって今更ながら後悔をしている。何故かって?つまらない上に男しかいねぇ。高校生活の残りをバイトに使ってるだけでも有り得ねぇのに華も無くて面白味もないとは…最高に最悪な人生だ。 「加藤、さっさと廃棄してこい。その後で教えることがあるから。」 目の前に居る嫌み臭いコイツは同い年の石田龍成(いしだりゅうな)。バイトを始めたのは一年の時らしいからバイトの面では遥かに先輩だ。 まあ、客が居たりする時だけ無駄に店員ぶってるが普段は呼び捨てにしても怒られねぇし悪い奴では無いが、度々腹が立つ。ああ、癒やしてくれる可愛い女の子でも居ればいいのになー…。 「廃棄な、廃棄…。」 嫌々ではあるが弁当の棚へ行き、期限切れ間近の弁当を棚から下げる。勿体ねぇよな、この弁当…棄てちまうんだぜ。食えなくて困ってる奴はたくさん居るのにさ。まあ、店の決まりだから棄てるんだけどな。 廃棄の弁当をまとめてバックルームに持って行けば丁度、休憩を取っていた織田さんと目が合う。
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