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いろいろ悩みを話しながら歩くと学校に着くのもあっと言う間だった。
「ほら、あれだよ。西野君が告白したって言う女子。」
「え~何かの間違いでしょ?隣の人じゃないの?」
「まじかよ、櫻井が?!」
「らしいぜ。おいちょっと聞いてこいよ。」
校門を抜け、教室に来るまでいろんな視線と噂が愛に注がれる。
人の噂とは広まるのが早いもので、現実逃避は無残にも打ち破られる事となった。
「はぁ~疲れた。」
やっと着いた教室で愛は机に突っ伏した。
「確かにすごい噂されてたね。さすがプリンス!噂になるの早いわ。」
「本当だよ。教室くるまでにこんなに疲れる事なんてあるんだね…」
こんなに玄関から教室が遠いなんて思ったことは今まで一度もなかった。
でも、今日は近いはずの教室がはるか彼方に感じたのは勘違いではないだろう。
ぐったりと項垂れ、起き上がるのも面倒だけどそう思ったのは一瞬で、
「うんうん。俺もこんなに噂されるなんて思ってもなかったよ。」
「そーだよね・・・ってどうして西野君がここにいるの?!」
この声の主のせいでぐったりした体も飛び上がるくらいの勢いで頭をあげた。
「愛、気がつくの遅すぎ。教室に入ったくらいから着いてきてたよ。あ、そうだ!私今日日直だから職員室行かなくちゃ。じゃ、お二人ともごゆっくり~」
シレっという咲紀を見上げるとニヤリと笑って教室から出て行く。
(わざとらしぃ。絶対嘘だ・・・)
恨めしい視線で咲紀が出ていくのを見送る。
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