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埒が明かない…と無理やり藍を毛布でぐるぐる巻きにして、回してきた車に押し込んだ。
「イヤだ」と言いはするものの、抵抗する元気はの無い藍は、実際のところされるがまま。
(此処からなら、救急病院に行くよりもあっちの方が近いし顔も利くな…)
選択したのは車で15分の夜間救急の病院ではなく、頼めば夜間診療もやってくれないことはない、曖昧な診療時間を掲げる車で5分の個人病院。
病院の名前は【徳重医院】。悪友“徳重 雅紀”の実家だ。
『夜分にすいません、お電話した柚木ですが…』
入り口横のインターフォンで名乗れば、見知った顔の看護士が私服で現れた。
『御無沙汰してます…すいませんこんな時間に…』
「いいのよ、瑠一くん。さぁ入って頂戴。」
藍を背負ったままの俺を中に招き入れてくれたのは、雅紀のお袋サン。
ナイチンゲールを地で行く人だ。昔から、慈愛に満ちた笑顔で俺に接してくれる。
(この人からアレが生まれるとは…世の中解らんもんだな…)
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