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「どれ、もう一度口を開けて?あ~って言いなさい」
「…ぁぁぁぁぁ」
「はい、良いよ。さっきの検査は陰性だったから、インフルエンザじゃなくて風邪だね……喉もやたら赤い」
(スイマセン、おじさん。それはさっきまで鳴かせてたからです…)
流石にそれは言えないが、ただの風邪だと聞いてホッとした。
……が、問題はココからだった。
「注射やだ。」
『藍、我が儘言うな』
「薬もやだ。」
『こら、…………藍っ!』
体力の消耗…(これも俺のせいだが)それを補うための点滴や、処方してくれる薬を要らないと言い張る藍。
「お願いだから、…勘弁して?」と、熱で潤んだ目で見上げてくる。
(狡いぞ、…藍。)
甘える藍に絆され掛ける俺に、助け船を出してくれたのは雅紀のお袋サン。
「……………ネ?…それなら良いでしょ?」
藍に聞こえないよう俺とおじさんに耳打ちしてくれたのは、
なかなかの面白い……、いや、名案だった。
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