鶴の恩返し

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『……………』 おっさんは驚きました。 明かりの下で見た訪問者はこの寒いのに白い着物一枚で、 その顔は紛れもなく男なのにとても美味しそう……美しかったのです。 そして、驚いたのは訪問者も同じでした。 「ここ、お爺さんとこお婆さんの家じゃねぇの?!おっさん誰だよっ!」 まったくもって、良い度胸です。 初対面で、いきなり“おっさん”呼ばわりなのですから――…。 おっさんは方眉をピクリと上げて言いました。 『爺さんと婆さんなら隣の家だ。だがあの家は昨日、巨大な桃を拾ってきてたから、お前が訪ねたところで相手されねぇだろうな』 ニヤリと笑うおっさん。この訪問者を他者に渡すつもりなど、毛頭有りません。 .
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