鶴の恩返し

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寒い寒いと訴える訪問者を囲炉裏の側に座らせたおっさんは、温かいお茶を煎れてあげました。 白い着物の合わせがめくれ、裾から覗く白い足がおっさんを誘います。 『お前、名は?』 「おつう」 『嘘付け、本当は?』 おっさんは訪問者の嘘をあっさり見抜きました。 仕方なく訪問者は生まれ持った名を明かしました。 「お藍」 『珍しい名だな…まぁいい。なんでこんな吹雪の晩に表をさまよっていた?』 「来る途中は少ししか降ってなかった。」 困ったことに話が噛み合いません。 おっさんはこの美味しそうな…可哀想なお藍を好きなだけここに住まわせてやることにしました。 .
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