UNHAPPY REFRAIN

０１

「偶然……？」

『はい、別に貴方に掛けようと思って掛けたんじゃなく、適当に番号を押したら貴方が出たんです』

「……」

　……少女が気まぐれで起こした、悪戯。適当に番号を押し……よりにもよって、掛かったのが我が家。

　どんな偶然だ！！

『偶々出た人がこんなに話しやすい人で少し安心したんですよ？』

「話しやすい？」

　それは……あまり言われた事が無い。だけど何回かは言われた事がある。

　話しやすいのだろうか……僕は。

『はいっ』

　楓は多分、花が咲いたような笑顔を浮かべながらそう言った。まぁ声から推測しただけだから、修羅のような形相である可能性もあるが。

『いや、それは無いです』

「当然のように心を読むな！！」

　その後数回、会話を交わして電話を切った。

　別れの言葉は「じゃあまた」。だったけど、きっともう会う事は無いだろう。世界は広い。今回の様な偶然はもう起きないだろう。

「夕凪楓……か」

　年下のような印象を持った少女。

　話しやすいのは、こっちも一緒だったな。

「……さぁて、そろそろ準備するか」

　そして僕は自室に戻る。多少名残惜しい気がするが、その理由を考えるのは酷く無駄な事のような気がするから止めにしよう。

　さて、これが僕。安沙祇 結城(あさぎ ゆうき)の今朝最初の出来事だった。

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