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十年前のあの日の事を、今さら思い出す必要なんて更々無いのだけど、やっぱりこういう事件が起きると……思い出してしまう。
思い出さずにはいられない。
その日を『始まりの日』と呼ぶのか、『進化の日』と呼ぶのか、それは個人の自由だけれど、教科書に乗っている表記に従ってここでは『進化の日』と呼ぶことにしよう。
まぁ、ここまで言えば、何が起きたのかは予想できると思うが……そう。あの日、人類は進化した。
経緯を説明すれば……そう、あの日。地球上に住む数十億の人類に、『人類終了のお知らせ』が行われた。
『残念ですが、人類に生き残る道はありません。現実は非情である』って感じに。いや、ここまで軽くは無かったけど。
その放送が行われた時、人類の多くは唖然とし、また多くは冗談だと嘲り。
安沙祇結城は砂場で砂山を作っていた。
……いやまぁ、その頃僕はまだ子供だし。
そしてその後、何故人類が終わるのか、理由が説明された。
巨大隕石。
唐突に、なんの前触れもなく、その巨大隕石は地球の近くに『出現』し、そして、それはそのままいくと地球に衝突する、と。
証拠映像と共にその事実を突きつけられた人類の多くは驚愕し、恐怖し。
安沙祇結城は落とし穴を作っていた。
……だから僕はまだ子供だったんだって。
しかしまぁ、僕が今こうやってグダグダ喋っている事から、人類が終了しなかった事は察している事だろう。
隕石は消えた。
出現した時と同じく、突然、突如。唐突に、なんの前触れもなく。
地上に、『進化の光』を振り撒いて。
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