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それは雨の日だった。
とある鉄道会社を親とするスーパーマーケットに雅子はいた。大きな腹を抱えて、そう雅子は妊娠していた。もう五カ月になる。
しかし彼女の不運は夫を事故で亡くした事だった。それは数週間前の話だが雅子はえんえん泣き続けたものだ。
漸く立ち直りを見せた雅子は、再び引き籠る為の準備も兼ねてそのスーパーで買い物をしていたのだった。
会計を済ませた雅子は大量の荷物を抱えてよいせとそれを自転車の籠に乗せた。
その時にポツリポツリと雨が降り出したのだった。
「弱ったなあ、傘なんて持ってきてないよ」
雅子は独り愚痴を呟くとスーパー近くの団地に逃げ込もうとしていた。
しかし、それが出来なかった。
雅子の意識はそれっきりだった。激しい腹部の痛みと共に、雅子は蹲るように倒れ込み、そしてそのままゆっくりと眼を閉じてしまった。
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