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魔王の城、といっても物語に出て来るようなおどろおどろしい城ではなく、石造りの西洋の城に青年は運ばれた。
その城の会議の間。そこに集まる数多くの魔王に付き従う重臣達。
勿論、おおよそ人間と呼ばれる生物とは似ても似つかない。
「コヤツは何時になったら起きるのだ?先程から鼾(いびき)ばかりをかいているが…」
魔の王の配下が1人、吸血鬼のような容姿をした者が呟く。
「いっそ、叩き起こした方が早いのでは?」
青年のその眠りは最早清々しいまであるが、流石にアレから『3日』は寝すぎた。
魔の王が床をカツカツ鳴らしながら歩いていく、そして…
「ぐみゃ!?」
顔面を踏ん付けられる青年。
カエルが潰れたような声をだしながら、目を見開く。
「いデデデで!?何これ!?何コレ!?」
ギリギリと踏む力が強くなっていく。たまらず布団を跳ね退け、長の脚を掴もうとする。
「ふん。」
しかし、その前に脚を退けられてしまった。
何処か残念そうな青年だが、起きた事には変わりない。
「あれ?此処は何処だ?」
青年からしてみれば、朝起きた時見た事がない風景が目の前に広がっているのだ。驚かない訳がない。
青年は寝起きの余り頭が働いていない状況で現状を把握しようとした。
そして…
「誘拐か?残念だが我が家に財産など無い!!まだ、家のローンも返していないし、親父は万年係長だ!!残念だったな、フハハハハハぁ!!!」
その勘違いはおおよそ通常の考えうる範囲のモノだったが、周りのモノ達には伝わらない。
その為…
「喧(やかま)しい。」
魔の王より、ガゴンと頭に重い一撃を受けた。
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