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「……はぁ、美味い」
モルトを気持ち良く飲み干して、カウンター内の簡易椅子に腰掛ける。
忙しない毎日に追われる中での束の間の休息なのだが、何もすることが無いというのは、経営者としては不安で仕方がない。
準備も、いつも通りにオープン1時間前に来て終わらせてしまったし。
何かないかと店内を見回しながら、CABINを1本取り出して火を点けた。
長い夜になりそうだ…。
無意識に出た溜め息が、くゆる煙を乱した瞬間――
ガチャッ
――入り口のドアが開いた。
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