濡れた迷子

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射竦めるような視線から目が逸らせなくて、頭の中はパニック。 例えるなら……蛇に睨まれた蛙。 この人一体なんなの? 強盗か? 殺人鬼か? まさか幽霊? てゆうか睨むなよ。 高圧的なオーラ無理~。 一見の客って変人多いし。 恐怖感と現実逃避が混じりに混じって、頭の中は絶賛混乱中。 言葉では説明出来ないような雰囲気を感じ取ってしまったせいで、席に促して温かいおしぼりを渡すのも、営業スマイルで注文を聞くのも、すっかり脳ミソの奥深くに埋葬されそうになった時、やっと男性が口を開いた。
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