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表情は明るい
「ちゃんと刷れましたよ、センム」
「じゃ、後は三木君に任せるから、済んだら声かけてくれ」
チョコをひと摘みするとセンムはそそくさと部屋から退散した
よほどバチが悪かったんだろう
店にすれば写真のおかげで、危うく上客を逃がしてしまいそうになったのだから
それも当然かもしれない
「じゃ、僕も後ろいるから
ま、決まりだと思うし」
チョコをひと摘みすると男は部屋の奥へと戻った
この人達、どんだけチョコが気に入ったんだ
ん?決まり?
さっき見たあの不気味写真から、挽回出来るだけのモノがあるのだろうか
私は、とてもとてもあんな気味の悪い家に住もうだなんて考えられない
「はい」
そう言って彼女は、にっこりしながらテーブルの上に一枚一枚写真を並べる
再度テーブルの上に並べられた写真
私は恐る恐る並べられたそれらを覗き込む
「あ、普通だ」
思わず声に出る
A4サイズの10枚のプリントアウトした写真
いずれもカラーでしっかりと写っている
さっきの写真の印象が強かったせいだろうか
普通、あまりにも普通の写真だ
カラーになって新しく解った事は
建物の外観が白い板壁に赤い屋根ということぐらいだろうか
庭も玄関もリビングも浴室も
肩すかしを食らうくらい普通の家
さっきの写真が「拒絶」なら
この写真は何と言い表せばいいだろうか
「普通」
やはりこの言葉が妥当のような気がする
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