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「築年数はそれなりだけど、リフォームもメンテもしっかり行き届いているからね」
「庭が広いのよ。敷地面積の2/3が庭だからね」
「使える部屋は…」
一生懸命説明するミキちゃんの声を上の空で聞いている私
……
…めんどい
今日は、もう帰りたい
ハッキリ言ってしまえば
この写真からはあまり住みたいという魅力を感じられない
適当に聞いて早く断って、次の部屋を探したい
「ここって、しばらく誰も住んでないって言ってたよね?
家族で海外出張とかそんな感じなの?」
「【そのようなもの】ね」
「ふうーん」
聞いてはみたものの
やはり、私の興味はとっくにこの家から逸れている
ミキちゃんの微妙にカワす返事にも私は気付かない
そんな上の空の私に気付いたのだろうか
‐またあの男が動き出す‐
奥の席から再びこちらへやってきて
ミキちゃんの肩越しに写真を覗き込む
「うーん、こりゃ確かに「普通」だね…まあ、三木ちゃんじゃあこんなもんか」
えらい言われようだ
写真が人を選ぶとでもいうのだろうか
「え~っ、でもこれ撮って来たのギマさんでしょー」
返事もせず男は壁の時計をチラリとみる
時計の針は二時を指していた
「ヨシ、じゃあ見にいこっか」
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