5人が本棚に入れています
本棚に追加
今さら気付く
私は彼を凝視し過ぎた
私に目を合わせたまま
男はニヤリと笑い、ズンズンとこちらへ近づいいてくる
え?
まさかそのまま私んとこに来る気なのか?
なんで!?
目が合っちゃったから?
私の席までは約5、6メートル
その距離を椅子やテーブルを掻き分けるようにして
一直線にズンズンこっちへ歩いてくる
なんで!?
当然、辺りの視線は男を注目し始める
他の客も同様だ
なんで!?
ついに男は
テーブルを挟んだ私の目の前まで来てしまった
「何?」
「何、あの人?」
従業員、来店客
この場すべての人達が男を見ている
そして男は、邪魔だとばかりに
私の正面に座っていたミキちゃんを
タイヤの付いた事務イスごと横に押しのける
なんで!?
そして、呆気にとられてる私を指差し
半ば高揚した声でこう言い放った
「彼女、イイじゃないか!」
この一声で、今まで男を注目していたすべての視線が
今度は私に移行する
なんで──────!?
それは
ワケもわからず椅子ごと押しのけられて
クルクル回るミキちゃんも例外ではない
最初のコメントを投稿しよう!