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今、私は案内されるまま奥の部屋にいる
ここは打ち合わせ室だろうか
さっきの男が出て来たと思われる部屋だ
出されたお茶は焙じ茶からベノアに変わり
カゴの中の飴玉はゴデバのチョコに取って代わった
茶と菓子のグレードアップ
これは明らかなVIP待遇だ
ミキ「家主が不在の期間に…たとえば海外出張だとか、家族で長期旅行中だとか
その期間だけの賃貸物件ってのがあるんだけど…
ここも【そのようなもの】なのよね
とにかく見て貰えば判るんだけど」
先ほどの謎の男の推薦で、私はこの部屋へ通されている
‐今回、特別に
私にオススメの物件がある‐
今、私がここにいるのはそういう理由だ
部屋へ通されて15分が経っていた
ざっと聞いた限り今の私にわかるのは
それは…「部屋」と言うよりは「家」だという事だ
つまり「一軒家」
提示された賃料は求めていたアパートとさして変わらない
つまり、これは破格の条件 と、いうことだ
だけど…ミキちゃんの
【そのようなもの】
って表現が私には何か引っ掛かる
説明にはミキちゃんだけでなくセンムと呼ばれる人まで加わった
専務、つまり上司が出てくるという事は、向こうも本腰を入れてるって事だろう
極めつけはさっきの謎の人物だ
彼はこちらの会話には加わらず
離れた席でパラパラと雑誌を読んでいる
いったいこの男は何なんだ?
とにかくミキちゃんもセンムもなんとか私にその部屋を貸りてもらおうと必至のようにみえる
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