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ブスブスと煙を噴きながら、化け物は屋上を転がる。
まだ焦げ臭い臭いを出しながら、残った火を消すように転がってから化け物は飛び起きた。
「うーん、化け物相手には火力不足を痛感するな……」
未だに健在と言える化け物の姿に僕は呆れる。
自分が可能なある程度の威力の攻撃手段があまりダメージになっていないことに。
化け物は警戒しているのか僕に近寄らない。
参ったなぁ……
こっちからあまり近寄りたくないのに……
なんかめっちゃ唸ってるし……
ガパァと化け物の真っ黒な口を開く。
咄嗟に横に飛び退いたところに黒い弾が着弾して破裂する。
しかもバカスカと僕を追うように連続で。
「避けてもじり貧か」
ならば、と扇子を持った右手を構えて化け物に突っ込む。
当然、化け物は僕に目掛けて黒い弾を直接撃ち込んでくる。
それを見計らって扇子を上に振り抜く。
銀色の粉が混じったような風が黒い弾を上へ吹き飛ばす。
そのまま隙だらけの喉笛に左手の掌底を叩き込みながら、出来る限り小さく爆発を起こす。
喉笛にめり込むように、内側から爆発するように、魔素による爆発と簡素な防御結界を組み立てる。
爆発は目の前で起き、吹っ飛ぶ喉笛は爆炎に埋もれ、防御結界は爆炎に撫でられた後に真っ黒な返り血に染まる。
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