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「よし、綺麗に入ったか」
割と満足出来る魔術の完成度を確かめながら化け物の有り様を確かめる。
首が繋がっているのが不思議なくらい喉を抉られた化け物は屋上から吹っ飛び、下の路地に落ちる……
ドガッ!ドガガッ!
ところで盛大に血飛沫を上げながら、バカデカい風穴をぶち抜かれる。
空中で次々と撃ち抜かれてバラバラになった肉塊は路地に転がり落ちて石畳を黒く汚していく。
訳がわからない。
とりあえず血飛沫が飛んだ方向から、射手のいる方向を割り出して扇子を向ける。
まさにその方向から、『彼女』は跳んできた。
両手に女性が持つにはあまりに巨大な砲とサブマシンガンを構えて、その自身の華奢な身体には似合わない重厚な着地音を立てながら、彼女は僕の前に現れた。
「これはこれは、見ず知らずの魔術師殿。魔物退治の協力に感謝します。あとは我々の仕事ですので、お任せ願えますか?」
「あとは、ってのはもう一匹のことですか?」
長く色の濃い金色の髪を風に靡かせながら、彼女はその蒼い目をこちらに向ける。
その目は言外に語る。
『私達に手出しするな。魔術師はすっこんでろ』と……
「えぇ、それでは急ぎますので失礼を」
そう告げて彼女は的確に化け物がいるだろう方向へと跳んでいく。
その直感はいい。
ただ、そこにいるのは恐らく『シンシア・マルガレーテ・アルネレーヴェ』という化け物なのだが。
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