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「跪け、理由はてめぇの無駄にデカいアタマに聞きな。人助けだってなら何処へでも行っちまえ」
珠を転がしながら封印処理しているシンシアの背中に餌を食い尽くした胴体のない狗が飛び掛かって噛み付く。
そして、彼女の羽織る真っ黒なローブに解けて、沈んでいく。
シンシアはまるでそのことを気にしないように暢気に封印処理の終わった白い珠を月明かりに照らす。
「好きにしやがれっての。いっそあたしが現実を叩きつけてやろうか?……っと……来たか」
何かに気付いたのか、シンシアはローブの内側に珠をしまい立ち上がる。
何も持っていない右手にどこからとなく黒い槍を持つ。
「カモン、ケティ!」
シンシアは少し上を見上げた先に左手を伸ばす。
ローブの袖口がボコッと膨らみ、一拍置いて黒い矢が放射状にぶちまけられる。
ぶちまけられた黒い矢は一旦広がり、また一点に向かって猛スピードで集まっていく。
そして、鏃の向く先にいる蒼の天使は右手の少々大きなサブマシンガンを振り回す。
軽い連射音と共に彼女に向けて飛んでいた黒い矢は次々と折れ、次々と弾け、霧散していく。
そして、彼女の左手に握る大きなライフルの銃口がシンシアに向けられ、火を噴いた。
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