1.『Red fraction』

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「あっ、あいつ……」 化け物の肉塊が転がっていたハズの石畳は黒い煙を放っている。 軽く飛び降りてから、黒い煙の中に光る白い石を見つける。 白魔核、か。 しかも、そこそこ大きい。 売り払えばそこそこの金になるハズだ。 封印処置を施して、ポケットに入れてから僕は彼女を追う。 ベルガモットに似た魔素の残り香を辿りながら、僕は懸念する。 シンシアと彼女が鉢合わせる可能性だ。 間違いなくマズイことになる。 片や、ヴァルプルギスの夜の1人である魔術師。 片や、武器の対魔物砲とサブマシンガンから推察するに『硝煙の魔女』当人である可能性が高い。 もともと仲良くはない魔術師と守衛団のそれぞれのトップクラスの鉢合わせだ。 シンシアの性格を考えると…… 「急がなくちゃ……」 一際高い教会の屋根を飛び越えようとした時だった。 ドカァッ! 「なっ、なんだ!?」 音のした鐘楼の方を見ると、壁が抉れて崩れかけている真ん中に煤けて汚れたデニムのコートに身を包んだ彼女の姿。 その身体は壁から弾かれ、屋根から落ちようとしていた。 「うわっ!」 慌てて彼女のほうに跳んで、その痛め付けられた身体を抱き止める。 だが予想外の重さに、屋根にそのままへたり込む。 持っていた銃器を手離したのか、放り出された銃器がガチャリと下の路地に落ちた……
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